2010年4月15日木曜日

優しく、強い


おやすみの日。あいにくの雨。
でも予定通り、今日はみんなで
生産者の方のところへ。


8時集合、10時到着。
益子から2時間ほどのところ。
栃木県南部、渡良瀬地域・藤岡町にて
30年以上、無農薬有機農業に従事されている
町田武士さんのところへお邪魔する。




三寒四温、というよりも冬に逆戻りしたような寒さ。
囲炉裏に火を入れて迎えて下った。
ほっこり、暖かい。
優しい笑顔でみんなのこころも、温まる。





町田さんとのご縁は、
もう4年以上になるのだろうか。
お嬢さん、あきちゃんと
共にスターネットで過ごせたことへ遡る。
あきちゃんとは、ここで共に暮らしたことで
いろんな話をして、深い時間を共有できた。
そんな時間の中で、あきちゃんのお父さんである
武士さんご本人とお会いさせていただくよりも
先に、おいしいおいしい、お野菜を知った。
それからずっとの、
お父さん、武士さんのファンである。


あきちゃんを介して知っていた
「あきちゃんのお父さん」が
「町田武士さん」という「その道」では
とても有名な方で、すごい人、
というのを後から後から知った。

そして、少しずつ、少しずつ、
偉大な農業者としての
とてもすばらしい取り組み、
農業、作物、植物、いのちへの愛情や情熱、
そして、暮らし、生き方を知った。
でも、
実際におうちや畑に伺えたのは
今日が初めて。


町田さんはいつも恥ずかしそうに
笑いながら、優しくお話してくれる。
町田さんが育てた甘くておいしいお野菜はもちろん
私は、町田さんのお話を伺うのが大好き。
それは、土、野菜、いのち、
自然から頂き、感じるままの
生の、嘘のないとても強く厳しい言葉。
だからこそ、優しい。




町田さんの農は10代後半、
自然農法の第一人者と名高い故・福岡正信さんの
門を叩いた時に始まった。
そして地元、渡良瀬に戻って本格的な
「農業」を始める。

町田さんが生まれ育った渡良瀬地域は、
葦の生育する渡良瀬遊水池のすぐ近く。
遊水池には渡良瀬川の本流が流れ込み
上流は日光足尾。利根川へ続く渡良瀬川の
下流地域でもある。

若き日の町田さんが
自然農へ関心を持ったのは
日本の高度成長、発展途上の最中に起った、
しかも自分の暮らす場所で起こった、
とても身近な公害、環境問題がきっかけでもあり
そのことから自然に導かれたといってもよい。

そして、その背景が
「ちきゅう」「しぜん」という
大きな大きな力への敬意や感謝しながら
自然に対峙し、農に勤しむ。
町田さんの30年来変わらない強くて太い柱となる。





     渡良瀬遊水池の葦。刈り取って肥料とする。


     時間を経て、発酵させる。発酵しても、葦の「形」が残る。
     時間が経っても「形」が残ることが根の生育に重要な「力」となる。





町田さんが、手探りで農業を始めて
以来、大切にしてきたこと。
それは、自分の土地、風土、気候に
一番向いている作物、
昔からその地で作られてきた作物を作ること。
今でこそ流行に唱えられている四字熟語も
いろいろ浮かんでくるけれど、
簡単で当たり前のように聞こえるが、
それが一番簡単そうでいて
重要で難しく奥が深い。


地元へ戻り、まず始めたこと。
近くに生きた、江戸から受け継ぎ、
実践してきた明治の人たちに
生の声を聞き歩くことだった。
昔から育てられていた
その地の作物、
実践した栽培方法、
苗の育成方法、
そして土作り。
その地の環境を守ることに
ご尽力された方々へも然り。
とにかく、聴き歩いたそう。
自分の土地を知るために。

多くの生字引の先達から教わり
智慧や時間を受け継だ、町田さんの農法は
自然農、無肥料栽培、有機無農薬
「そんな枠ではくくれない」
ということを改めて知る。
お話を伺い、現場を拝見して、納得。



育て方ももちろんマニュアルで
縛ることなどは、当然、ない。
いのちの声を聴く。気持ちを知る。
そこから始まり、それがすべて。


無肥料の方がいいものもあれば、
ちょっと手助けしてあげる方がいいものもある。
同じ作物でもそう。
これは元気だけど、こっちは・・・
人もひとりひとり違うように
野菜もそれぞれ違う。

小さくて元気がなくて
ダメだなと思っていても、
「根っこ」がしっかりしていれば、
ある時、急に大きく育つこともある。
大きくならなくても、
それぞれが最大限においしい、
それでいい。
なんとも明快。
こころが晴れて、軽くなる。


「野菜」は自然から頂くいのち。
みえる部分だけをみるのではなく
まず、ひとつひとつの、
「いのち」がそれぞれ違うということを知る。
そして、元気に育ってもらうためには
根っこに、力を持たせる。
根っこに力を持たせるためにどうするか。
土をよくする。それしかない。
これまた、シンプル。


だからおいしい。
それが町田さんの農。


町田さんのお野菜もそう。
「スペシャリスト」といわれる
それぞれの生産者さん、各々に
独自の哲学があり、そこにたどり着くまでの
プロセスがあり、精神に柱がある。

お店には、スペシャリストが
愛情たっぷりに向き合い、
手塩にかけて育てた
力強く、甘く、おいしいお野菜が並ぶ。
「無農薬有機です」
そんな言葉が弱く聞こえる。
うちの食品売り場って、スゴイ。
ジマンじゃないけど、ジマン。


     スターネットのために、と、既に来年用に新種の苗にも挑戦。
     とても嬉しく、有難きこと。






畑や、苗の育成状況、貯蔵の方法。
昔から伝わる、妥協のない
今ではやる人も少ない、とても貴重な仕事。
大変でだれも手を付けない仕事もこなす。



帰りには広大な葦の生息地を案内してくださって
渡良瀬の土地、風土、歴史や暮らしを教えてくれる。
また少しだけど背景もわかった。

半日、様々な現場を見せて頂くが、
それらは、日常作業のほんの一部。
町田さんのこだわりや、深さや、すごさは
こんな少しでは、もちろん、わかりっこない。
だから、面白く、すごいのだから。


「大変なことこそ、やる意味がある」
町田さんは、いつもそう言いながら、笑う。
本質を、直球で語ってくれる
町田さんとのお話の時間、
私はとても大事に思っている。
いつも「大地の力」を頂く。
町田さんの笑顔に会えた今日は、
本当に嬉しかった。


また、伺いたいです。
次は、田植えの頃?
和綿の花咲く頃にも伺いたいです。
どんなお話が聞けるのだろうと
今からとても楽しみです。


奥様、けいこさん、あらいさん、
そして「あきちゃんのお父さん」町田さん。
今日はお忙しい中、楽しい時間を
本当にありがとうございました。
感謝。



ざわめき・・・






毎年のこの時。
池の前の桜が、一番美しく見頃を迎えるころ。
ほかの木々も、美しく花開こうとする。


どれもこれも、生命力にあふれていて
ドキッとする。
そして、あまりに強く、美しいので
毎年のこの時、心がざわめく。
きょうも、あしたも、しばらく続く。
とても、たいせつなこと。


2010年4月10日土曜日

サクラサク・・アァ・・サクラサク

山に。1週間ほど出会えるかたくりのお花。
それはそれは、美しくやさしい、紫のお花。

池の周りのサクラ。あっという間に花盛り。

カンゾウとタンポポ。
甘い、苦い。でも、おいしい。


つくしは、もうすぐおしまい。



春、桜が咲いた。
鶯の唄もすっかり上手に。

春眠暁を覚えず・・・だなんて
ボヤボヤしてはいられない。
春は、いつも、早朝から忙しい。

このとき、そのとき、たった1週間ほどしか
出会えない、自然の恵みに会いに行く。
山の達人・入野さんと。


花が芽吹き、新芽も芽でる。
一年、一周期。
春夏秋冬、秋冬春夏・・
どこかを最初にする必要はなく
季節はめぐり、日々移ろう。
自然の恵みも、同じ。
いつも感謝をする。


新学期、新生活。
新しい出会い、暮らしの始まり。
春の訪れと共に、一年が始まる。
そんなサイクルに慣れ親しんでいる。
13年前の今日
4月11日がお誕生日のスターネット。
春が、今日が、一年の始まり。


桜の咲くこの季節。
桜は、春の訪れを、派手に知らせる。
でも、みんなの足元にも、ほら。
タンポポ、つくし、よもぎ・・。
猫柳も、木瓜も、蕾を膨らませ花を咲かせ
春が来たよと、控えめに教えてくれる。


しかも、春の恵みは、実に美味しい。
体にたまった毒をも排出してくれる。
苦くそして甘く、とてもやさしい。
そんな新芽、木の芽、野草、蕾に
会いにいかないと!と
5時起床もへっちゃらだ。
そう、ボヤボヤ寝ている暇はない。
朝から山に入る。
これは体にも、心にも
とてもとてもやさしい。


今年も、桜が咲いて、
春を教えてくれた。
カエルが唄が聴こえてくるよ・・・♪
もうすぐ。たのしみだな。